10月23日(水)、山の先輩に浅草岳に連れて行ってもらいました。総勢8名です。 田子倉登山口から登りましたが、最初は沢沿いになだらかな道を登ります。周りは大きなブナの林です。登るにつれて少しずつ坂は厳しさを増しますが、同時に紅葉も進みます。ブナの林は黄色に染まり、モミジやナナカマドが赤を添えます。 尾根に出る頃には坂もきつく息が弾みます。周りは紅葉の真っ盛りになります。剣が峰から見える前方の山は、それこそ色とりどりに化粧しています。 この急坂が山頂まで続きます。山頂近くになるとブナの林もなくなり、周りの山々(と言っても、すこしガスっていて、遠くは見えませんが)も秋の紅葉に染まっていました。 頂上で昼食をとり、下山は入叶津登山口方面です。なだらかな道を下ります。草モミジ(天狗の遊び場)を通り、林の中に入るとこちらも黄色く色づいたブナの林です。時折、真っ赤なウルシやモミジに出会います。そして入叶津登山口に降り立ちます。 入叶津からタクシーで(これが意外と安かった)田子倉登山口まで戻りました。 最近は殆ど紅葉を外していましたが(時期がよく分からず、『はずれ』ばかりだった)、こんなにきれいな紅葉は久しぶりに見ました。体も心も高揚してしまいました(一応洒落たつもりです。笑ってやって下さい)。 流石に、山を幾多も経験した人は外しませんネ。すばらしい紅葉狩りでした。感心するとともに、感謝・感激です。有り難うございました。 今回のルート:- 小出IC = 田子倉登山口 ⇒ 大久保沢 ⇒ 熊の爪痕 ⇒ 田子倉眺め ⇒ 剣が峰 ⇒ 鬼ヶ面眺め ⇒ 熊合わせ ⇒ 浅草岳山頂 ⇒ 天狗の遊び場 ⇒ 避難小屋 ⇒ すだれ上(『すだれ岩の上』の意味か?) ⇒ 沼の平分岐 ⇒ 平石山 ⇒ 山神の杉(沼の平分岐) ⇒ 叶津川眺め ⇒ 入叶津登山口 = 田子倉登山口 = 温泉 = 小出IC 10月23日(水) 10月23日に浅草岳に登る計画を山の先輩が立ててくれた。参加者はじぇんとるまん、かみさんはもちろん、そのほかにいつもの山友4名とともに総勢8名で行くことになっていた。ところが、10月22日の夕方、先輩から中止の連絡が入った。台風27号が来ているし、雨が心配だそうである。 夕食時、かみさんと二人で、期待していた紅葉が見られなくなって残念がっているところに、山友のリーダーから『決行することになった』旨の電話があった。二人で大喜びした。 今回は朝が随分早い。決行の連絡をもらって早くに寝る。 10月23日2時に起床。外を見ると天気は余りよくなさそうである。只見町の方は、予報では良さそうなので安心する。3時15分に車で山友を迎えに行く。 某スーパーマーケットに3時30分に集合する。鶴ヶ島ICから小出ICに向かい、さらに国道252号を走る。田子倉登山口に着いたのは、6時30分を少し廻っていた。 広々とした駐車場には、未だ一台も止まっていない。我々の車2台のみである。駐車場入口正面にこれから登る浅草岳が朝日に映えて、紅葉が一段と眩しく見えた。 ここは只見線の六十里越トンネルの端に当たる。線路を横切った所に休息所があり、その傍らに簡易トイレがある。ここも駐車場の様である。トイレを済ませて、早速歩き出す。 田子倉湖に流れ込む只見沢に沿って歩く。歩き始めてすぐに、少し黄色く色づいたブナの林の中に入る。大木のブナがあっちにもこっちにも、まさに言葉の通り林立している。間もなく沢に架かった橋を渡る。登山道は、なだらかな登りで、前日までの雨でぬかっているところがある。 沢を何回か渡り、登山道も少しずつ角度を増していく。登るにつれて周りの木々の色づきも濃くなっていく。 45分ほど歩くと、大きなブナの木の根元に大久保沢の標識があり、その傍に『登山口まで1.3km』と書かれた杭が立ててあった。この辺りになると登山道も緩急が連続する様になる。周りは相変わらずブナの大木が続き、黄色く色づいた葉が日光を受けて輝いている。そして小さい沢を渡り、20分も歩くと、今度は大きな大木の根元に『熊の爪跡』と書いた札が目に着く。大きな大木に熊の引っ掻いた爪跡が・・・。『エッ!どこにある!?よく分からんなア~!』。全員の感想である。引っ掻いたのが随分前の話で、ブナの木の自浄で直ったのか、爪跡は探してもよく分からなかった。沢の道はこの辺りまでで、周りも少しずつ明るくなり、尾根に取り付く。この辺りになると紅葉が進んでいる。前方を見ると錦に輝く尾根がそびえている。と同時に、後ろを振り返ると田子倉湖がギラリと光ってみえた。すぐに『田子倉眺め』の杭が打ってあるところに立つ。山頂方向の錦の紅葉の中に白い筋が下がっていた。よく見ると滝の様だ。振り返ると白い雲の上に遠くの山が頭を出していた。 そんな景色の中、登山道だけは容赦なく急坂となる。それでもきれいなブナの黄色、モミジの赤、笹の緑、これらが混じり合った美しい眺めを糧に息を弾ませながら登る。黄色く色づきながら未だ緑の残った大木のブナの幹にまとわりついたナナカマドは、真っ赤な実をつけていた。しばらく行くと今度は真っ青なまん丸い実が付いた木もある(帰ってから調べたら、サワフタギらしい)。思わず『青い鳥小鳥、なぜなぜ青い、青い実を食べた』の唄が頭をよぎったほどである。言葉に表せないほどの美しい色彩であった。路傍にはまだ蔓リンドウが残って咲いていた。 急坂を登り切ると『剣が峰』である。山頂まではあと1.8kmである。残念ながら雲がかかり浅草岳の山頂は見えず、色づいた裾が見えるだけである。そしてすぐに『鬼ヶ面眺め』の杭が打ってある場所に着く。しかし、こちらも鬼ヶ面方面はガスっており全く見えない。聞くところによるとすごい断崖絶壁が連なっているという。どんな面構えか是非見たかったが、残念である。 少しなだらかな道を行くと二本の大きなブナの木が並んで立っている。『熊あわせ』である。周りは陽に映えたモミジが輝いている。じぇんとるまんは思わず、『みんなで写真を撮らせてヨ!』と口を突いて出た。みんな賛同し、集合写真を撮る。 ここからは再度急坂になる。雲(霧?)が少し晴れて浅草岳の山頂が、紅葉に映えた顔を見せる。まだまだ遠い。 最後の急登を登ると、やっと山頂である。10時37分だった。頂上には先客がいて、『ああだ!こうだ!そうだ!どうだ!』と、賑やかに山を同定している。正直なところ周りは霧が上がってきて360度の展望とは行かない。西から北にかけては大分展望がきく。北西に守門岳が見えていた。 足下には、流石に一等三角点である。立派な土台に石柱が鎮座していた。山頂標識よりもずっと立派に見える。さらに、小さな石祠も祀ってあった。見ている限りでは、誰も相手にしていなかった。可愛そう!!! 傍にいた人にお願いして、全員並んで集合写真を撮る。撮ってくれた人、有り難うございました! 少し早いが、朝早かったこともあり、昼食にする。思い思いの場所で弁当を広げる。昼食をしている間に、霧が晴れてくる。じぇんとるまんは昼食の途中でカメラを取り出してウロウロする。落ち着かない男だ。 お腹も一杯になったところで、下山しましょうか。 下山は入叶津への、なだらかな道である。しばらく行くと、目の前に草モミジの平原が広がる。『天狗の遊び場』と書いた杭が立っている。木道を歩いて行くと、途中に小さな池があった。この辺りは近くの『沼ノ平』から少し離れているが、一応湿原になっているのであろう。木道は濡れており滑りやすい。注意しながら歩く。が、前の方でかみさんが寝っ転がった。いくら天狗の遊び場とは言え、寝っ転がって遊ぶのはいかがなものか。(怪我しなかったから冗談も言えるが・・・) 次第に背丈ほどもある笹原に入っていく。笹の間から、さらにすばらしい景色が目に入る。油絵にすればすばらしい絵になるだろう(じぇんとるまんは、絵に関する巧拙をするほど明るくはない)。 30分強歩いたところに『避難小屋』の杭が立っている。周りを見回したが避難小屋は見つからなかった。(あとで調べたら、『平成21年10月に撤去されている』とのことだった) 林の中に這っていく。相変わらず、色づいた大木のブナの林である。時折、真っ赤なウルシが生えており、触らない様によけながら歩く。そんな中を、下山開始から1時間20分ほど歩いたところに『すだれ上』と書かれた杭がある。意味がよく分からない。かみさんが、これから連想して『すだれ満月』と言った。周りの人が、その言葉の説明を求めた。説明を聞いて『なあ~んだ。歴史的な言葉かと思った。』と宣わっていた。じぇんとるまんは笑ってしまった。因みに、この『すだれ上』とは、その傍に『すだれ岩』と言う崖がある(国土地理院地図参照)が、『その上の方』と言う意味ではないかと思う。 木々の間から遠くの山並みが見える。黄色に色づいているが、尾根の所だけが緑に縁取られている。そして谷の方には里が見えていた。これも絵になりそうである。 登山道はなだらかで、ときにぬかったところはあるが、歩きやすい路である。紅葉を堪能しながら歩き、12時45分に『沼ノ平分岐』に到着する。沼ノ平への道は虎ロープが張られており通行禁止になっていた。先輩の奥さんが、『沼ノ平もすばらしいヨ。行きたいネ!』と話していた。 分岐の標識とともに『ブナの杜』と書かれた杭もある。周りはブナの大木ばかりで、人の心をいやしてくれる正にブナの杜である。 マイナスイオンをふんだんに吸いながら、平石山に到着。と言っても、平石山は巻いて素通りする。これからは急な坂を降ることになる。平石山から30分弱歩くと、沼平への分岐に着く。標識の傍に小さな祠があり、その傍らに大きな杉の木が二本そびえていた。『山神の杉』と書かれていた。二本のうちの一本は幹が上の方で折れていた。雷に打たれたのだろうか。可愛そう!『山神の杉』だというのに、神も仏もないものか!!! 山神の杉をあとにする。1kmほど歩くと『叶津川眺め』である。林の間に叶津川が垣間見える。登山口まで1.0kmとある。山の中の道のりは長い。曲がりくねった葛籠折れの道をてくてくと歩く。道端には、これも雪に埋もれて曲がってしまった、ブナの木がある。 14時15分に、入叶津登山口に着いた。タクシーが待っていた。約束の時間から、15分遅れである。かなり正確な到着であると思う。山では、このくらいの時間は大目に見てくれるだろう。 タクシーに乗り込むが、ぬかるんだ道を歩いてきたために、靴が汚れている。登山口の水場で靴を洗う。タクシーの運チャンは、車内にビニールのシートを敷いてくれた。既に背もたれは、汗で汚れない様にビニールで覆ってあった。安心して乗り込む。 国道289号線を通り、国道252号線に出て、只見湖・田子倉湖の傍を通り、車窓からの湖と紅葉した山々を楽しみながら田子倉登山口に向かう。約30分ほどして田子倉登山口に着いた。 あとは温泉に浸かり、汗を流し、疲れを少し取って帰路についた。
今回は天気に恵まれ、久しぶりに最高の紅葉を見ることが出来た。 いつも思うことだが、良い山友に恵まれ幸せだ! 計画して頂いた先輩と、その良い山友に感謝・感激しながら床についた。もちろん自然にも。
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