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2024/07/21 2:28:55
夏は来ぬ
”自然”に囲まれた中に職場があるため、四季折々、季節の到来は、花や虫の声、鳥の囀りが教えてくれる。

 夏の始まりを告げるニイニイ蝉の声を先週聞き、昨夕は、ひぐらしの声を聞いた。暑さに拍車をかける、あぶら蝉の声は、今年は未だだ。

 さて、小中学校は既に夏休み入りの筈だが、近所に子供の声が無い。もっとも日焼けを嫌う子供も大勢いるというのだから、炎天下に外出を憚るのも無理はない。昭和生まれの世代とは隔世の感があるが、夏休みともなれば手製の捕獲道具で”何か”を捕まえることに夢中だった。

 さて、蝉取りを例に挙げよう。蝉取りで重要なことは朝早く起きること。理由は、昨晩、張られたばかりで粘着力の強い蜘蛛の巣を絡めとる必要があるからだ。蜘蛛の糸の粘着力を利用して蝉を捕るという非常にローカルなテクニックを使う。まず、裏山から3〜4mほどの竹を切り出し、掃った一本の枝を湾曲させ、竹を輪切りにした穴に差し込んで大人の掌ほどの輪を作る。次に、昨晩、家の周りの外灯近くに張られた蜘蛛の巣を竹の竿先をクルクル回して絡めとる。朝の蜘蛛の巣が良い理由は、糸の粘度が日に日に弱くなるためだ。余談だが、蜘蛛が直径40cm程の捕虫用の蜘蛛の巣を張る様子を観察したことがあるが、要する時間は、およそ40分だ(これについては後日詳しく書こう)。

 さて、自作の捕虫網で容易に捕まえられるのは、せいぜい低層で鳴くニイニイ蝉、あぶら蝉程度だ。これを捕まえて緑色のプラスチック製の虫籠にいれて、ただ眺めるだけなのだが、素手では捕れないものを自作の道具を駆使して捕まえたという事に何某かの歓びを覚え、夏休みの間、飽きもせずに今日は、魚だ、昆虫だと”捕る”ことに夢中になった。 但し、ひぐらしは、一度も捕まえたことが無い。彼らは、常に薄暗い森の中の、しかも比較的高い場所におり、羽は透明で声はすれどその「姿を見つけることは難しい。ひぐらしの姿は抜けるように透明で美しく、森にこだまするように輪唱して鳴くからか、何とも切なくて儚く、そしてもの哀しい。

卯の花の 匂う垣根に 時鳥 早も来鳴きて 忍音もらす
 夏は来ぬ

 さて、この夏が素敵な夏になりますように。