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2021/01/31 2:38:22
和三水仕立てのわらび餅
先の週末の昼下がり。どうしても蕎麦が食べたくて肌寒い雨の中、市内の蕎麦屋さんまで足を運んだ。市街地から離れた郊外で主人とおかみさん。それにおかみさんのお母さんの3人で静かに店を守っている。そして女性陣は、いつも着物を纏って店に立っている。この佇まいだけでも店の強い意思が良く伝わる。私が開業した頃とほぼ同時期に店を構えておられたので、齢まわりも近く、気さくに何か聞けるのも心地よい。街道筋から少し外れた県道沿いにありながら、軒に看板など掛けない店であるからにして、ここがお店であることを知る人も少なく、然るべく静かで、とても落ち着ける店だ。

 このご時世と寒さに加え、雨模様。1組の家族が勘定を済ませ帰途に就く処だった。他に客の姿は無く、実に静かだ。蕎麦を啜った後、本来は、盛夏の午後にゆっくり食すものだろうが、どうしても気になり、浅いガラスの器に和三盆を溶いた水。そこに氷とわらび餅が浮かぶ「和三水わらび餅」と「漉し餡の葛切り」を頼む。「甘味をふたつ食べる人はまずいないなぁ」と店主に笑われながら、先ず、わらび餅を一口頬張る。水に溶かれた和三盆の、ほんのりとどこまでも柔らかい甘さが口いっぱいに拡がる。わらび餅は、よくある「わらび餅」とは趣きが違い、”つなぎ”としての混ぜ物を入れていないため、プルプルと口の中で良く踊る。しかし、この寒空の下、「盛り」と「冷菓」ではさすがに寒かった。おっといけない。蕎麦に添えた天ぷらの具材も記さねば失礼に当たる。「百合根」「蓮根」「さつまいも」「わかさぎ」「ぎんなん」「車海老」とこの季節に合わせた薄い衣の天ぷらも実に見事だ。


 この店の庭木の手入れに始まり、店の設え。仕事の丁寧さは開店以来、微塵も揺らがない。頭が下がるばかりである。よくぞこの広い庭に始まり、店の隅々までをも僅か3名で纏め上げているものだ。気の緩んだ私が「ちょっと疲れたぁ・・・・」って背中が丸くなような時、背筋をピンと伸ばしてくれる素敵なお店である。