店長の字って読めないですよ・・・・とスタッフ一堂が口を揃えて言う。
お世話になった方には、ほんの数行でも何かを書こうと心がけてきた。しかし、「たぶん・・・読めませんよ・・・・」と言われると心が折れそうになる。
訪問先で短い面会待ち時間ができたため、部屋の片隅で30字程度の文章をノートに挟んだ伝言用紙に書き、気心の知れた方に「私が書いたこの文・・・読めますか?」と神妙に差出してみた。すると、ごく普通にそれを読み進めるではないか。少しホッとした。「私の字、読みにくいですかね?」と尋ねれば、「そうでもないです」と笑顔で答える。そうでもないということは、それなりに読みにくいのだと改めて知り、少しへこんだ。では、なぜ読めるのかを更に尋ねれば、日頃、読んできた悪筆の鍛錬によるものだという。相手は、看護職の方であったので医療職の方に多いと言われる「走り書き」で鍛えられたのだそうだ。文字のひとつひとつを拾うのではなく、読みにくい文字は前後の脈絡や文字配列から推考して読み進めるという。ブラウザ検索の際にプルダウンで類義語がいっぱい出てくる”アレ”に近い事が脳みその中で常時起きているわけだ。記録ではないので、漢字のひとつやふたつが間違っていようと大したことはない個人的には思っているし、「伝えたい気持ち」が伝わればいいんだなんて都合の良いことを考えでいるが、そう考えている方は果たしてどれくらいいるのだろう。
書き直しが自在なメールっていう便利なものもあるけれど、万年筆で間違えないように心を込めて書いた手紙を添えるってことを大事にしたいと常々思っている。
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