花屋さんの店先で小さな実を結ぶレモンの鉢植えがとてもかわいかったのから買い求め、ここで4度目の春を迎える。
いろいろ工夫しながら育て、ようやく大人の腰丈ほどに育ってくれた。寒さに強いとされるリスボン種ながら想定以上に寒さに弱く、秋から冬のあいだは、室内で大切に面倒をみている、3月に入ってから花をつけ始めたので庭先に移したところ、季節外れの降雪に見舞われ、よっぽど寒さが堪えたのだろう。すっかり花が萎えてしまった。
この樹を育ててみて初めて知り得たことだが、果実だけではなく、花も葉も爽やかなレモンの香りがする。落ち葉さえ、指で砕くと、まるでレモンを絞ったように香りが開く。
もう少し気温が上がると、その香りに引き寄せられたアゲハ蝶がやってくる。春先から夏の終わりまで、毎日レモンの葉の裏に卵を産みにやってくるのだ。うっかり、孵化した幼虫を見逃そうものなら数日で柔らかい新芽はすべて食べ尽くされてしまう。庭先をアゲハ蝶が舞うのも風情があっていいのっだが、ことレモンと私にとっては天敵以外の何物でもない。収穫できるか否かは、この毎日の弛まぬささやかな努力の上に成り立っている。さぁ、今年こそ収穫し、ざく切りにしたレモンをぎっしりとグラスに詰めて、爽やかなスカッシュでも作ってみたいものだ。
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