雄大な大地と恵

It introduces mothers work.
 
2007/09/24 9:57:59
沢のザリガニはどこ?

母の詩(その1)

折角孫二人連れて来たのに、沢水あるかしら。
木の葉の下に姿隠しているだろうか。
最近隣の山から採石が始まり、今も毎日大型
ダンプが走っている。
山裾に自転車を置き、登ること十五分、地形
がすっかり変わっている。水の流れる沢が
ない。
「ばあちゃん、場所忘れたの?、ザリガニは?」
「忘れはしないよ、絶対この辺だったのに」。
でも境界ぎりぎり機械が入り、昔の面影はす
っかり消えている。
三人大息ついて言葉を失った。昔は炭焼き
の木を切るくらいで自然のままだったのに、
毎日運び出す土石はどこへ消えるのだろう。
昔と今の速いを孫と語り合うひと時
「ばあちゃん、よく昔のこと忘れないね。
今日来たこと、和音(孫娘)もずうっと忘れ
ないよ」 「いい思い出だね」
ゆるやかな下り坂を白いヘルメットの孫二人、
私の前をルンルン気分で遠ざかる

2007年7月3日 あさひかわ新聞「並木道」
に掲載。写真は「大雪山」