本を読みながらごろ寝をすると、夢を見た。 どこかの街の街路樹になっていた。 せみが土の中から顔を出し、ゆっくりと登ってくる。 根元に置き忘れられた鉢から、朝顔のつるがからまる。葉っぱには朝露。つぼみがほころび始める。今朝のは、あかむらさき。昨日は紫だった。 猫が隣の屋根から、器用に飛び移る。毛並み自慢はいいけれど、幹で爪を研ぐのはやめてほしいもんだ。 ああ、せみの背が割れて、中から現れた成虫は、なんて弱々しく脆いのだろう。その羽の薄く美しいこと。この世のどんな衣もかなわない。 朝陽はまだ、地平線の下で、まどろみをむさぼっているところ・・・ |